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今回の金融ウェビナーでは、保険契約管理業務をゼロベースで再構築する取り組みの実例として、アフラック生命保険株式会社(以下アフラック)の「アフラック プロジェクトZERO」を紹介いたします。

2023年に立ち上げられた「アフラック プロジェクトZERO」は、“保険会社をゼロから作る”という発想のもとで保険契約管理業務を再検討し、デジタル化・自動化を実現しようという大胆な取り組みです。

さらにアフラックでは業務のデジタル化・自動化だけでなく、お客様中心のサービス提供、組織・オペレーション変革、システム構築、アジャイル型の働き方推進などの幅広い変革にも取り組み、保険の枠にとらわれない新たな価値の創造にも積極的に挑んでいます。

今回はスペシャルゲストとしてアフラックの取締役専務執行役員である二見様を招き、アフラックのIT・デジタル戦略や「アフラック プロジェクトZERO」の背景や取り組み例などを語っていただきました。

55社から4社へ。パートナー体制の抜本的刷新を実施

まずは「アフラック プロジェクトZERO」の前段としてアフラックのIT・デジタル戦略の軌跡を簡単に説明いたします。

アフラックは以前、55社の国内パートナーにアプリケーションの開発・保守を委託していましたが、現在はアクセンチュアを含む4社に集約しています。かつては各社が独自のITアーキテクチャを採用していたため、システムが乱立し、契約処理や有識者の維持に多大な労力がかかっていました。

これを4社に集約することで、ITアーキテクチャの統一やコストの最適化、品質向上を実現。アフラックの社員の労力も軽減され、パートナー間での競争関係も築かれました。さらには事務業務のDXにも取り組み、アクセンチュアのアウトソーシング(BPO)を活用してアフラックの事務業務を行う社員がDXを自走する仕組みも構築しました。

こうした変革の結果、2021年の調査でアフラックは国内外の保険会社の中でDXリーダーレベルの高評価を得ています。特にトップダウンによる全社レベルでのイノベーションや、ビジネスとITの連携、リーダー企業レベルのクラウド導入が高く評価されました。

中期経営計画の柱としてDXとアジャイル戦略を掲示

アフラックの中期経営戦略はステークホルダーへの新たな価値を提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)とアジャイル戦略を柱の1つとしており、今年は2022年から始まる3年間の最終年にあたります。

重点テーマのひとつ目は「DXを通じた営業支援による新たな体験価値の提供と顧客接点の創出」です。これはデジタルによって保険代理店に新たな体験価値を提供し、保険会社の課題であるお客様との接点を増やしていくということです。

次に「DXを最大限活用した保険契約管理業務の抜本的再構築」に関しては、50年の業務の積み重ねで複雑化したシステムをデジタル技術で効率化し、非効率な部分を改善します。

最後に「アジャイル型の働き方のさらなる展開」では、これまでのウォーターフォール型のアプローチを脱し、アジャイルアプローチを全社的に導入します。人事部門や監査部門、営業部門でもアジャイルを活用し、会社全体を変革します。

アフラックではこれらの取り組みを「DX@Aflac」と名付け、コアビジネス領域と新たな領域の両面で価値創出に向き合っています。新たな領域とは、お客様の健康管理や増進を支援し、病気の際のサポート、職場復帰の支援などが例として挙げられ、これらの新しい領域では他の大手企業や地方自治体と連携・協業して新しいビジネスモデルを作り上げることを目指しています。また、DX推進の土台として、基盤、組織、人財などの変革にも取り組んでいます。

そして重点テーマの3つ目にもある通り、アフラックではアジャイル型の働き方の浸透にも取り組み、「Agile@Aflac」として全社的に推進しています。

アジャイル推進の大きな目的は、今まで以上にお客様の立場に立って商品やサービスを提供していくことにあります。また、商品・サービスの提供スピードの向上、投資効率の向上、人財エンゲージメントの向上もアジャイルの目的です。

特に注目すべきは、さまざまな部署が関わる取り組みでありながら一貫してお客様への提供価値をフォーカスしていることです。何よりもお客様への価値を最優先に考えるという原則があることで全社的な働き方の変化につながっています。

デジタルを徹底的に活用し、エンドツーエンドの変革を実現

冒頭で簡単に触れていますが、「アフラック プロジェクトZERO」とは“新しい保険会社をゼロから作る”という考えのもと、ゼロベースで保険契約管理業務のプロセスを再検討し、デジタル化・自動化を推進するプロジェクトです。

上記のスライドの通り、プロジェクトの目的とセットで原理原則も定義されています。

その原理原則のひとつに「デジタルファースト」がありますが、代理店の募集人がお客様と接するフロント部分で徹底的にデジタルツールを活用してもらえば、バックオフィスの業務自動化が可能になり、マネジメントにおいてもリアルタイムでのデータ管理ができるようになります。

エンドツーエンドのデジタル導入によって人手の作業を減らし、アクセンチュアとの連携によって確実な事業費の削減と効果創出を実現することが「アフラック プロジェクトZERO」の概要になります。

アクセンチュアによる全方位的な変革の支援

ゼロベースで新しい保険会社を作るためには、それを実現する仕組みを作ることが必要です。そこでアクセンチュアは、テクノロジー、アウトソース、コンサルティングの領域においてアフラックの変革パートナーとして改革に伴走させていただきました。

システム面では、デジタル基盤へのシフトとSTP(Straight Through Processing)化を実現するための抜本的再構築として、フロントにおけるデジタルシフトからバックエンドのオンライン化までを実施しました。

特にデジタルシフトの肝となるUI/UXにおいては、デザインのプロトタイプを用いて代理店と会話を重ね、「これで本当に代理店の課題を解決できるか」と問いかけながらアジャイルで作り上げていきました。結果、代理店からは「自分も改善に参加した」という感覚を持ってもらうことができ、一体感も醸成されました。

また、アクセンチュアはアフラックのBPOベンダーでもあり、従来の紙ベースのBPOも受託している立場にありましたが、受託業務を「守る」のではなく、積極的に紙を減らしてBPO委託費を削減することに取り組みました。

プロジェクトに対して全方位から支援に携わることができたのは、部門横断で改革に取り組むアクセンチュアの強みが発揮された点だといえるでしょう。

さて、本レポートでは簡単にアフラックの軌跡を振り返ってきましたが、ゼロベースでの業務再構築、そしてフロントからバックオフィスまでの横断的な改革に取り組むのは決して容易なことではありません。より詳しい変革の道筋や成功のポイントを知りたい方は、無料で視聴可能な動画版をぜひご覧ください。動画版にはアフラック二見様へのQ&Aも収められており、変革に取り組むうえでのヒントを得られるはずです。

今回のウェビナーでは、金融業界の外部へと目を向け、最新の顧客体験の創造に取り組んでいる事例を紹介しました。本記事の内容は、オンデマンド視聴可能なウェビナーでより詳しく紹介しております。ハンズオン資料のご提供ほか、豊富な図版を交えた説明、視聴者からのQ&Aを含む約60分の映像コンテンツとなっておりますので、ぜひご視聴ください。

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