今回のアクセンチュア金融ウェビナーでは、昨年より続くシリーズ企画としてご好評をいただいたモダナイゼーションの第4回。いよいよ2025年の崖が目前となり、メインフレームが時代に耐えられなくなっており、レガシー環境から「どのようにして脱却するべきか」の具体論へと入っていきます。

基幹システムの刷新におけるアプローチを主要5パターンへと整理し、モダナイゼーションのソリューションを解説。さらにお客様が「自社に適したソリューションはどれか?」を検討する上で参考となる事例を解説します。視聴者とのQ&Aセッションを含む、約60分の映像コンテンツです。ぜひご視聴ください。

メインフレーム脱却における、基幹システム刷新の5つのパターン

モダナイゼーションのソリューションとしては、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。アクセンチュアでは基幹システム刷新パターンは主に5つに集約されると考えています。

  1. デジタル・デカップリング型
  2. デジタル・ビークル活用型
  3. トランスフォーメーショナル・ジャーニー型
  4. ビッグバンアプローチ型
  5. リプラットフォーム型

それらの具体的特徴は次の通りです。

1.デジタル・デカップリング型:

ビジネスのアジリティを高めるフロントを構築し、旧型メインフレームを中心とするレガシーは既存システムを利用します。APIで接続し、双方を併存させます。

2.デジタル・ビークル活用型:

基幹系システムを新規に構築し、段階的に移行します。新ブランドでビジネスを発足させて最小構成でITを整備しつつ、ビジネスがスケールするタイミングでレガシー領域の置換を試みます。

3.トランスフォーメーショナル・ジャーニー型:

更改期が到来したシステムをパーツ単位で段階的に刷新するモデルです。EAガバナンスに基づいて、逐次的に理想形へ移行します。パッケージやオープンで分かれている場合、それぞれごとに修正します。

4.ビッグバンアプローチ型:

レガシーのデータとロジックを新規に設計構築し、新規システムへシステムを載せ替えます。

5.リプラットフォーム型:

既存システムのインフラ基盤のみ新規に構築し、ビジネスロジックやアプリケーション、データは再利用する方式です。自動化ツールを可能な限り活用して資産を移行するほか、リホスト、リライトの手法が選択可能です。

各刷新パターンの採用傾向を集計すると以下の図のようになり、1、2、5の方法を組み合わせてモダナイゼーションを実行している事例が多く見られます。

5つの事例に見る「勝てるソリューション」選定のポイント

モダナイゼーションの取り組みを推進するにあたり、どのソリューションが自社に適しているかを判断するうえでは、自社の置かれている状況や課題認識に基づいて検討します。

ここでは5つのパターンをご紹介しますが、お客様がどのような状況に置かれているにせよ「勝てるソリューションを取るべきである」というアプローチは共通です。

A社:磨き上げた単一メインフレームの場合

磨き上げた単一メインフレームを持ち、効率と生産性を高めてきました。ソリューションはデジタル・デカップリングとリプラットフォームを組み合わせます。難所は、現状維持でもすぐに問題が顕在化するわけではないため、なぜ脱ホストしなければならないのかへの理解と意思決定に時間を要します。

将来的な業界動向、人口動態、技術の変遷、ビジネスやマーケットの今後の変化予測をもとにしてビジネスおよびITの将来像を描く必要があります。既存メインフレームの完成度は高いが、伸びしろがなく、イノベーションが起こせません。アジリティの高いシステムへと転換するDXがA社のテーマであり、現場社員の総リスキルも必要でした。

B社:塩漬けメインフレームの場合

複数のメインフレームが存在し、主軸のビジネスを支える1つと、終売した商品の管理のための他のメインフレームのように役割が分かれています。後者は塩漬けのシステムです。

枯れたシステムは安定していますが、終売商品の利用者は逓減していくためメインフレームの保守コスト構造だけが悪化し続けます。ソリューションはクラウド移行を中心とする理プラットフォームです。クラウドジャーニーの推進とアウトソーシング化によって、ビジネスをシュリンクさせていく方法が有効です。クラウド化で別の新規環境への移行かは、データやシステムの件数に依存します。関係するユーザーや金融庁への報告などにも影響するため、全体のコストメリットで考える見極めが必要です。

C社:乱立メインフレームの場合

現役のメインフレームが複数あり、増改築と相互接続で利用しています。それぞれのメインフレームへの対応が必要となるため、高コストな状況です。そのケースではデジタル・ビークル活用型とリプラットフォーム型の組み合わせを適用しました。

既存のメインフレームの外側に、デジタル・ビークルに相当する新規の基幹システムを構築し、伸びしろのない主力基盤のメインフレームから脱却していく方法をC社では採用しています。既存メインフレームのメンテナンスは継続しますが、自動化を活用してコスト制約や高コスト体質からの脱却を目指しています。

なお、複数のメインフレームの統合は、個々のアプリケーションを紐解き、合体させるため莫大な時間とコストが必要となり、ビッグバンと等しい方法となります。そこで、このケースではインフラだけ合わせていくなどの方法で、既存環境の維持と新規投資を切り分けています。

D社:密結合メインフレームの場合

メインフレームは1台ですが、派生したアプリケーション基盤を接続しながら運用しているため非常に複雑化し、かつ密結合しているためシステムを停止できません。

ソリューションはデジタル・デカップリング型とリプラットフォーム型の組み合わせによる「そっと移す」アプローチです。メインフレームにつながっているシステムが多すぎるため、強引な変更はできません。このケースでは、周辺取引先のインターフェースに与える影響を最小限にして移行し、接続部分はリライトしています。疎結合で分離できるところを地道に探して移行を進め、気づいた時にはメインフレームが解けていた状態へ持っていきます。

E社:時限付き・超難度の”ラスボス級”メインフレームの場合

2025年の崖に対し、技術的な対策が急務であり、かつデッドラインや時限性を問われる非常に難易度の高いケースです。現在も残存し、稼働しているメインフレームの多くはCOBOL資産であり、これまで誰もマイグレーションに成功せずに生き延びてきたものばかりで、巨大かつ移行難易度が極めて高い特徴があります。

こうした時限付き超難度メインフレームへ対応するには、既存の画一的なソリューションではなく、新しいアプローチによる打開策の検討が必要です。アクセンチュアがこうしたプロジェクトに望む際は、最初にお客様側の既存ベンダーとの交渉で延命措置を図って時間を得たのち、実効性のある打開策を検討・遂行ます。

事業会社やベンダーに求められるケイパビリティ

以上、5つの事例を見てきましたが、実際に進める上でのキーポイントは5つです。

1. 現行アーキテクチャ理解

2. 経営層コミュニケーション

3. 技術力

4. 体力

5. 経験数

上記の1〜3はどのような戦略を仕立てるかに関するプランニングのスキル、3〜5は移行を完遂するための実行力です。

特に重要なのは、経営層の方々における「この取り組みはなぜ必要なのか」「会社にとってどのような意義があるのか」の理解の浸透です。実行においては状況を理解でき、方針や対策を立案できるメンバーと技術力、経験数を蓄積している一気通貫でサービス提供できるパートナーが必要だということです。

既得権益が破壊されるからこそ、”思いを一つ”にして協力体制を組む

モダナイゼーションは、既存の関係各社の既得権益を打ち壊してしまう可能性の高い取り組みです。こうした束縛からも脱却し、現行アーキテクチャーを理解しているメンバーやベンダー、メーカー各社がタッグを組み、”思いを一つにした協力体制”で問題を解いていくことが理想形です。

2025年の崖の恐ろしさは、今時点では安定稼働しているように見えるため、この先も大丈夫であろうと錯覚してしまう点にあります。しかし転落はある日突然に始まり、どのような手段を使っても挽回不可能な危機的状況に陥ります。これがモダナイゼーションの深刻さなのです。

アクセンチュアは、脱ホストへ向けたフレームワークMajalisなど、デカップリング型やリプラットフォーム型を推進するツール群を有していること、モダナイゼーションを専門とする数百(国内最大級)の組織を有している点で一気通貫の対応が可能です。レガシーシステムからの脱却に、もはや1日の猶予もありません。関係者が一丸となって取り組むべきテーマであるのは、こうした事情によるものであるといえるでしょう。 

今回のウェビナーでは、2021年に進む金融業界の変化と展望について紹介しました。本記事の内容は、オンデマンド視聴可能なウェビナーでより詳しく紹介しております。ハンズオン資料のご提供ほか、豊富な図版を交えた説明、視聴者からのQ&Aを含む約60分の映像コンテンツとなっております。ぜひご視聴ください。

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西尾 友善

西尾 友善

テクノロジーコンサルティング本部 インテリジェントソフトウェア エンジニアリングサービスグループ マネジング・ディレクター

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杉山 泰之

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上田 朋佳

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