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日本の金融機関のコスト対策はもはや限界に達しつつあります。一方で先進的プレイヤーの参入よるデジタルディスラプションは産業構造自体の創造的破壊を加速しており、既存の金融機関新たな戦い方を余儀なくされています。アクセンチュアが提唱する「コスト効率化」はNew ITの力を最大活用しつつ、金融機関が持つポテンシャルを最大化するアプローチです。
New ITを活用した変革が目指す、革新的な「コスト効率化」
金融機関のコスト対策すでに限界に達している
経済や市場の成熟、規制緩和やデジタルディスラプションなど、金融機関を取り巻くビジネス環境は激変しており、「コスト削減」の意味合いも昨今では大きく変容しています。
金融機関における「コスト」の大部分を占めるのは人件費と店舗運営費、そしてITコストです。いずれも事業投資の性格が強く、これを単純に“絞り込む”ことはビジネスの縮小均衡を招くリスクがあります。
これまで金融機関は十分すぎるほどにコスト低減を推進してきており、いまや既存業務を前提とした単純な「コスト効率の改善」は限界に近付いているといえます。業界内での「コスト抑制競争」も自社の競争力を飛躍させるものではなく各社の疲弊の要因となっています。
一方でFintech企業に象徴されるデジタルプレイヤーは先進的テクノロジーを活用することで金融システム自体の概念を変え、圧倒的な低コストを競争上の強みとして業界参入を加速させています。金融機関は産業構造そのものの大きな変化という岐路に立っていると言えます。
したがって、金融機関がコスト構造に疑問を抱いた場合は、今後は既存ビジネス・業務を前提とした表面的なコスト低減ではなく、ゼロベースでビジネス・業務自体を再定義すること、そこへのNew IT(先進的テクノロジー)活用を通じた戦略的な「コスト構造改革」が求められています。
「従来のプロセスありき」の場合、システム投資や自動化の施策を取り入れたとしても5〜10%のコスト効率化が実現すれば御の字となりますが、ゼロベースでインプットとアウトプット及び、中間の手続きの刷新を行うことで「桁」を超えるような劇的なコスト効率化が可能となります。
これらを実現するためのIT活用度の観点でも、これまではどの程度の規模でIT投資ができているか(例えば、レベニュー対比のIT投資の割合が競合他社と比較して多いかどうか)、加えて品質高くIT開発・運用ができているかで判断されることが一般的でした。アクセンチュアでは、質的な側面に踏み込み、IT支出全体に占める機動的IT支出の割合や、その中で「Leading in the New」と呼んでいる、デジタルならではの圧倒的効率性を誇るビジネス・業務の構築に十分な投資ができているかに注目しています。
コスト効率化への「3+1」のアクション
ゼロベース・New IT活用による「コスト構造改革」を行うにあたり、どのような施策が有効なのでしょうか。アクセンチュアでは「3+1」のアクションを提唱しています。
まず、改革においては「短期コスト削減と既存ポートフォリオの見直し」の施策が第1のアクションです。これによりNEW ITや「Leading in the NEW」に投資するための原資を作り出すことが重要です。
第2のアクションは、その原資を活用してレガシーシステムからの脱却、ソーシングの見直しなどを並行して進める「固定的IT支出の改革と機動的IT支出枠の確保」が第2のアクションです。NewITを活用した投資をアジリティをもって可能とする体質を実現することが目的です。
そして第3のアクション、「コスト削減投資」と「新ビジネスへの振り向け」に着手します。金融機関が手がけるべきデジタルシフトを実行し、自社の事業を抜本的に変革していく「セルフディスラプション」を推し進めます。オペレーションを全面的にデジタルネイティブ化したり、ブロックチェーンなどの技術を使って既存ビジネスを丸ごと外部化するなどビジネスそのものを変革するといった、「桁を超える成長」に直結する変革へ向かって加速して行きます。
「ゼロベースでのプロセス見直しへ」の希求
アクションにおける「+1」の取り組み、それが持続的なコスト効率化を実現するための「メカニズムの構築」です。施策レベルではガバナンス強化、ITアーキテクチャの刷新、ジャーニー・トゥ・クラウド(クラウド移行)、デジタル部門の立ち上げやタレントの変革など、内容は多岐に渡ります。
レガシーシステムや旧来の業務プロセスから脱却し、いかに構造レベルでコスト改革を行うか。そのためにアクセンチュアは先述の「3+1」のアクションで「投資のための原資作り」からご支援しています。固定支出が膨れ上がることによる負の循環から脱し、全体最適を目指すアーキテクチャ、「Living System」を目指すロードマップを描き、伴走します。
今後、金融機関にとって、テクノロジー投資を巧みにデザインし、経営資源としていくことが避けて通れません。しかしこれらのことは「言うは易く、行うは難し」であり、持続性を持って取り組むにあたっても多くのハードルにぶつかります。だからこそ、ITシステム部門やデジタル部門といった「部門単位」での見直しではなく、全社の業務とテクノロジーを、アーキテクチャの根本から刷新していくが重要なのです。ひいてはそれが、全社規模での「コストの効率化」に大きく寄与するといえるでしょう。
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