新型コロナウイルス(以降、COVID-19)が巻き起こしたパンデミックは産業構造を変化させる可能性を秘めており、弊社では全世界のプロフェッショナルが関与して、社会へのインパクトやこの困難に打ち克つための先進事例の調査・研究を継続的に行っています。本ブログの内容は、弊社がグローバルでリリースしている記事に沿った内容となっており、本内容の詳細につきましては、弊社グローバルのリリース(英語のみ)をご覧頂ければ幸いです。

COVID-19により引き起こされた深刻な健康および人道的危機は、各国の証券業界において財務面、業務面双方で大きなチャレンジとなっており、業界のリーダーには、変化の激しい局面での迅速な対応、それに伴う社員・顧客・組織への影響を軽減することが求められています。弊社は、この前例のない一連の課題に対して、安定化(Stabilization)、再構成(Reconfiguration)、回復(Recovery)、の3つのフェーズからアプローチすべきと考えており、本ブログではそのアプローチについてご紹介したいと思います。

安定化(Stabilization)

証券業界は、マーケットのボラティリティ拡大、金利の引き下げ、様々な景気刺激策等、様々な影響に晒されています。しかしながら、先ず喫緊で対処すべき問題は、公衆衛生危機が金融危機に繋がることを防ぐことです。

現代の資本市場は高度に相互連携しており、そのエコシステムは時に脆弱性を露呈します。金融危機への拡大および各社・各人の利己的な行動を防ぐために、業界各社は規制当局、政府、業界団体と協力し、金融危機を生じさせる可能性があるポイントを特定して対処する必要があります。特に世界の資本市場、特に信用市場が機能し続けるために資金と流動性を提供することが重要です。この対処の実現を以て、「エコシステムが回復した」と言えるのではないでしょうか。投資銀行からウェルスマネジメント、アセットマネジメントに至る産業に携わるプレイヤーは、顧客、社員、そして経済全体にとっての安定剤として重要な役割を果たすことが求められています。

再構築(Reconfiguration)

次のステップとして、証券業界は劇的に変化したビジネスの優先順位を加味し、それに応じてリソースを再配分する必要があります。これらの対応が一時的なものになるのか、産業構造に組み込まれるものになるのかはまだ分かりませんが、この再構成フェーズの中核に据えるべき考えは、「実行」と「実装」に焦点を当てることです。

証券業界が直面している主なチャレンジは、これまでの持続的に成長してきた時代からの転換(Pivot)です。今後、世界経済が景気後退へ突入するにつれて、信用および市場リスク管理、コスト最適化、デジタルを通じた顧客との対話が極めて重要となり、これらの具体的なアクションに繋げた企業が競争優位を手にするでしょう。同時に、企業は中核となるビジネスモデルを確実に存続させ、この危機を乗り越え、成功させる必要があります。

繰り返しとなりますが、先ず喫緊で対処すべき問題は、公衆衛生危機を金融危機に発展することを防ぐことです。弊社は業界関係者が3つのResilience(≒困難から復活する力)に焦点を当てるべきだと考えています。

1.Operational Resilience ~大規模なテクノロジーインフラの刷新~

今回の危機を通じて、世界の資本市場インフラは、前例のない膨大な取引、トレーディングにおける完全な電子商取引への移行、リモートによるトレーディング業務遂行、市場の秩序と流動性維持を求められています。これまでも証券業界は、世界経済を機能させることに加え、金融への影響緩和や信用と資本へのアクセスを最大化するために必要なソリューションを整備してきました。

しかしながら、今回の危機は、業界の変化と適応の必要性をさらに加速させることになります。弊社では、将来に亘って成功する企業となるためには未来のテクノロジー・アーキテクチャに移行する必要があると考えています。ここで実行に移すか否かでで、成長を阻害するレガシーなテクノロジーの負担に苦しみ続ける企業と、アジャイル(俊敏)に行動できる企業に分かれることになるでしょう。

2.Leadership Resilience ~誠実かつ広範なコミュニケーション~

証券業界に関係する企業が事業の安定化を図る中で、各企業のリーダーが社員や顧客と真の思いやりと自信を持ってコミュニケーションをすることが、これまで以上に必要不可欠となります。ほぼすべての企業が将来に向けてどの様に働き方を変革していくかを検討していますが、その傍らで、リーダーからのコミュニケーションを待っている人々の中では不安や恐れが生じています。定期的に社員と率直なコミュニケーションを取り、自分が知っていること、知らないことを伝えているリーダーは、問題点や脆弱な点を強調して伝え、社員の共感を生んでいます。

また、成功するリーダーはこの不安定な時期に関して、従来のビジネスに戻るための時間としてだけでなく、検証と革新の機会として捉えています。顧客や社員が不安を抱えている中で、目的意識やモチベーションを高く持って仕事に取り組むことができる環境や新しいソリューションが提供できないかを考えてみてください。この考えや行動を支えているのがリーダーシップであり、計画立案や実行に加えて社員や顧客との関係性を保つ土台となるでしょう。

3.Bending the cost curve ~今後を生き抜くためのコスト構造改革~

現在、企業が置かれている状況は、オペレーティングモデルを変革し、抜本的なコスト削減を行うことを通じて、従来以上に強く、速く、優れた企業になるための真のチャンスとも捉えられます。本来、証券産業は柔軟で動的で、回復力の高い業界であり、その業界に関係する企業も同様と考えられるでしょう。

リーダーは効率性・生産性を高めて回復力と競争力を向上させるために、高度なアナリティクス、AI、機械学習、ブロックチェーンに代表される分散台帳技術などの新しいテクノロジーを活用することが求められます。例えば、出張や社会的距離が制限される中、企業は営業モデルや顧客や投資家とのやりとりを抜本的に見直し、リモートアドバイス、オムニチャネル戦略、エコシステム戦略が急速に組み込まれるようになるでしょう。これらの戦略は、オンラインおよび対面の営業チャネルを最適化し、証券業界のコストを大きく削減する未来を形成する可能性があると考えています。

回復(Recovery)

世界が混乱期から脱却する中で、事態が収束した際の速やかな立ち直りを可能にするため、証券業界は資本の円滑な流れを促す重要な役割を果たすことになるでしょう。証券業界は、短期的なコスト管理だけでなく、今後の成長を重視する必要があります。テクノロジーは、危機による影響を緩和する重要な役割を果たしており、また業界がより革新的で効率的になるためにも必要になります。

弊社は、業界を牽引する企業が競争優位性や持続力を有し、費用対効果の高いオペレーティングモデルを生み出していくと期待しています。今まで以上にデジタル、アナリティクス、データ、テクノロジーを積極的に活用し、顧客体験とコスト効率を実現したビジネスモデルに転換することが業界に求められています。

最後に

ここまで見てきたように、COVID-19に端を発して、証券業界は新たな時代を迎えます。弊社は、皆様と新たな将来像を描き、その変革を推進し、実現していきたいと考えています。ぜひお声がけください。