今回のアクセンチュア金融ウェビナーでは、ニューノーマル実現のために金融機関には何が求められるのかをテーマとし、銀行・証券・保険それぞれのグループ日本統括がそれぞれの業界の展望を解説します。

収益確保が難しくなる銀行にとって必要な3つの施策とは何か。規制緩和が進む証券業界においてグループ経営は今後どうあるべきか、また独立系証券会社はどのように対抗していくべきか。保険会社が変化の中で取り組むべき変革アジェンダとは何か。視聴者とのQ&Aセッションを交えながらディスカッションする約60分の映像コンテンツです。ぜひご視聴ください。

デジタル技術と金融サービスの進歩

2021年は金融機関にとって大きな転換点となりうる、節目の1年になると予測されます。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)がビジネスに与える影響は拡大しており、企業・組織のデジタル化や顧客体験の変革、企業同士のエコシステム構築、社内の人材育成方法など、多岐にわたるテーマで変化は加速していくと見られます。

特に2021年には金融サービスにデジタル技術をプラスした新サービス・商品を提供する時代が本格的に幕開けします。従来は業務の効率化のために利用されるケースの多かったデジタル技術ですが、今年からは「人(行員等)の力を高めるための活用」が盛んになると予想されています。そうした現在の金融機関を取り巻く課題やテーマ整理すると、下図のようにまとめられます。これらの動向を踏まえた上で、本ウェビナーでは銀行、証券、保健業界の展望を解説します。

銀行業界の展望

2021年、銀行業界は3つのテーマに迫られます。

1. 大胆なコスト削減とスピード感を持った新規事業開拓の両立

2. 非金融事業者との連携によるエコシステム形成・新規ビジネス創出

3. 価値創造人材の育成

アクセンチュアの調査では2021年から2022年にかけて銀行業界全体の粗利が1%〜5%ほど減少すると予測しています。平均的な銀行がベストプラクティス水準のOHRを実現するには、20%〜30%といったマグニチュードでの大胆なコスト削減が必要です。[1]

コスト削減と新規事業開拓を両立するための戦略として、アクセンチュアでは「スーパータンカー&スピードボート改革」を提唱しています。スーパータンカー改革は支店中心型の既存の銀行事業を手堅く、しかし大胆に効率化をねらっていく取り組みです。

スピードボート改革は新規事業へのチャレンジを意味します。スーパータンカーの目指す先を過去のしがらみに捕らわれない機動力のある小規模組織で探索とチャレンジを進めます。この2つの改革を両立させ、投資と成果の刈り取りを最適化するプログラムを実行しなければなりません。(下図参照)

異業種連携によるエコシステム形成の取り組みは2021年にはますます本格化するえしょう。銀行が異業種企業のサプライチェーンに組み込まれていき、決済・融資などのサービス提供を行う動きが加速するとみられます。たとえば日本初のデジタル銀行「みんなの銀行」は、事業ドメインの1つを「BaaS(Bank as a Service)」とし、異業種企業に対して金融サービスを提供する事業モデルを企図しています。

また、人材育成の本格化もまったなしといえます。従来の銀行で一般的だった「営業3割、事務4割、管理2割、企画1割」という人材ポートフォリオはテクノロジーの活用で変容するでしょう。今後、銀行員は「バンカー+(プラス)人材」として、顧客に対して価値を直接届ける第1のタイプの人材と、「イノベーター人材」として新たな価値を創る第2のタイプの人材へと2分されていくと考えます。単なる人員削減ではなく、リスキリングによってどのように人材ポートフォリオを変えていくか、経営方針の決定が重要な1年となるでしょう。

証券業界の展望

証券業界のニューノーマル実現におけるテーマは大きく4点あります。

1. ファイアウォール規制緩和

2. リモート環境前提の営業体制の高度化

3. Blockchain、DLT(分散型台帳技術)による業界変革

4. 既存ビジネスの更なる効率化

リモートワークでの働き方を新たなスタンダードとするうえでは、その強みと特徴を再認識しなければなりません。リモートは「1対Nのマルチコミュニケーション」が可能です。現地にいる必要がないうえ、メディア配信による一斉同報による展開、コミュニケーション履歴のデータの活用など、従来の対面が主体の営業活動では実現不可能な展開が容易となります。

組織体系も、デジタルアドバイザリープラットフォームを基軸とする新しい営業体制への転換が進みます。専門家リソースの活用を最大化し、全国の顧客へアドバイスの提供を可能にします。

Blockchainなどデジタル技術による変革も業界にインパクトを与えるものと予想されます。すでにスイスではデジタル証券取引所が発足しており、DLTベースでのデジタルアセット取引、決済、カストディまでの証券バリューチェーンを網羅するプラットフォームのローンチが間近です。シンガポールでもデジタル証券取引所(iSTOX)が立ち上がり、複数のファンドが上場しています。こうした潮流は全世界へ拡大していくものとみられます。

また、既存アセットだけでなく、セキュリティトークンなど、将来性の見込める分野が急拡大していくのも2021年の特徴です。(下図参照)

保険業界の展望

今年の保険業界各社は非対面ソリューションに力を入れている一方、業界全体としてはCOVID-19による2つの強制的な変化に直面しています。

1.本格的なIoT時代の到来

2. ナショナルアジェンダの推進

スマートフォンやパソコンだけでなく、家電やクルマなど、日常生活で触れるあらゆる機器が通信機能を備えたIoTデバイスとなり、生活者の日常をより便利なものにしていきます。また腕時計型デバイスや、今後普及すると見込まれるメガネ型デバイスなどはバイタルデータの効果的な取得を実現し、保険商品・サービスへの利用が予想されます。

政府主導によるDXがより加速するとともに、SDGsやスーパーシティの誕生など、民間が持つデータと行政のデータを組み合わせた新サービスが増加することも予想できます。特に防災や事故予防において、損保会社は先進的なデータ活用企業へと変化していくでしょう。

保険会社の経営層が問われているのは、サービスやビジネスモデルのデジタル化の実現です。たとえば生保会社はバイタルデータを利用すれば、保険加入者の健康支援がより効果的に実施できます。

また、保険業界における変革アジェンダは次の3テーマです。

1. クラウドベースの業務システム(ビジネス環境変化への対応)

2. 顧客体験を起点にしたマーケティング・商品開発

3.カスタム志向を脱却しパッケージを有効活用(ITのコスト構造見直しのみではなく)

1,3のテーマに取り組むことにより企業体質をより筋肉質にする必要があります。そのうえで、マーケティングや商品開発は顧客体験を起点として行うべく資本や人材を投入することが重要です。その先には新しい提供価値として、デジタル技術を使った新サービスの普及が期待されます。

業界の展望についてより詳しい情報と資料をウェビナーにてご提供

今回のウェビナーでは、2021年に進む金融業界の変化と展望について紹介しました。本記事の内容は、オンデマンド視聴可能なウェビナーでより詳しく紹介しております。ハンズオン資料のご提供ほか、豊富な図版を交えた説明、視聴者からのQ&Aを含む約60分の映像コンテンツとなっております。ぜひご視聴ください。

アクセンチュア金融サービス本部ウェビナー第30回のご視聴はこちら

[1] 出所:メガバンク、準大手銀行、第一地銀の平均実績値の2017-2019のCAGR、 IMF World Economic Outlook「COVID-19が世界経済(GDP)に与える影響で推計」より