2019年6月5日投稿 アラン・マッキンタイヤー著
英語サイトはこちらへ

19世紀後半、アメリカの農民は工業化に対し恐怖を抱いていましたが、新たな道具や技術を用いて、革新し生き残るための道を選びました。発明家、科学者、そして植物学者でもあるアフリカ系アメリカ人のジョージ・ワシントン・カーヴァ―は、「普通のことを普通でない方法で行うと、世界の注目が集まる」、という言葉を残しています。カーヴァ―は、ピーナッツの用途を300、大豆やピーカン(ナッツ)、さつまいもの用途を数百以上も開発したと言われている、紛れもないイノベーターです。

レポートを読む(英語)
日本語のプレスリリースを読む

銀行にとってのチャレンジは、普通でないことが、加速的なスピードで普通になってきていることです。電話による住宅ローン申し込みでも、ATMでのカード不要の現金引き出しでも、イノベーションが直ぐに追随されてしまうので、長期間差別化を維持することは困難です。今年の「バンキング テクノロジービジョン」の調査では、ポストデジタル時代の「普通でないもの」を定義するテクノロジートレンドを5つ特定するにあたり、私たちは常識の枠を超える必要がありました。日本を含む銀行の経営幹部およびIT担当幹部784人の回答より、テクノロジーとイノベーションが成功のカギを握るということを具体的に理解することができました。

弊社が特定したITトレンドの一つは、デジタル動態統計に関するものです。顧客がモバイルやその他デバイスでインタラクティブなことを行うとデジタルIDが作成され、そのデジタルIDには、顧客がどのようなツールを使用したか、さらに今後どのように利用したいと思っているかという情報が反映されます。このようにデジタルIDで顧客の示唆に富む情報を得ることで、銀行は顧客個人のプロファイルを随時更新し、顧客をよりよく理解することが可能になります。さらに、柔軟な商品設定の機能を加えることで、銀行は一人ひとりの顧客に特化した商品やサービスをリアルタイムで提供する、夢のような「セグメント・オブ・ワン」へと近付くことができます。これにより顧客が詐欺に騙されるリスクや、銀行が不適切なタイミングで不適切な提案をしてしまうリスクも低減できます。

85%の銀行の経営幹部およびIT担当幹部(以下幹部)が、デジタル動態統計の活用によって潜在的顧客ニーズが特定できると考えています。また80%の幹部が、デジタル動態統計に基づいて商品やサービスの提供方法が拡張できると回答しました。さらに83%の幹部が、年齢、財産、居住地、性別など従来型のセグメンテーションパラメーターに比べ、デジタル動態統計は顧客ニーズをよりよく理解し、顧客にあった商品・サービスを提供することを可能にする、非常に強力な手法であると答えています。

普通でなかったことが、加速的なスピードで普通になっている

英国のフィンテックであるCreditEnable社は、中小企業の地域・国を越えた広範囲なデータセットを収集し、自社が特許を持つ信用アルゴリズムを駆使してリスクと商機の両方のインサイトを素早く作成して、融資担当者がデジタル動態統計をうまく活用できるよう支援しています。このテクノロジーにより、中小企業は自社の債務能力を理解しその能力を高める一方、融資する銀行はリスクを管理すると共に資産の質を向上させることができます。銀行は、中小企業がどの程度の債務に耐えられるかを総合的に判断できることで、迅速に的確な与信を行えるようになります。

同様に、融資のプラットフォームを提供するインドのSlicePayは10,000件以上のデータポイントから、学生ローン申請者のプロファイリングを構築しています。テクノロジー利用状況やソーシャルメディアでの投稿などのデータを基に、従来ローンを組むことが難しかった学生が容易にローンを組めるように支援しています。

このように、既存のデータを十二分に活用することで、新たなローンの提案や、消費動向に基づくタイムリーなアドバイスなど、顧客に喜ばれる卓越したサービスを銀行が提供できるようになります。日々行きかう膨大な量の情報をもとに、意外な関連性やパーソナライゼーション、スピードを実現するなど、銀行は情報中枢としての存在感を維持します。このように顧客のインサイトを引き出せる銀行が、新たな価値や成長に向けた道を切り開いていけるでしょう。

5つのトレンドを詳しく紹介している「Banking Technology Vision 2019: The dawn of banking in the post-digital era」(英語のみ)を、是非ご一読下さい。ポストデジタル世界が到来する中、銀行が差別化や新たな価値の創出のために、イノベーション主導による発展をどのように取り入れることができるか、ご検討の一助になれば幸いです。

日本語のプレスリリースはこちらからご参照下さい。