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日経ビジネス 2020.10月26日号掲載記事のご紹介

「Efma-Accenture Innovation in Insurance Awards」[1]において、最優秀イノベーション賞「2020 Global Innovator」のブロンズを日本の保険会社として初めて受賞したアフラック生命保険。何が変革の原動力となっているのか、同社のCIOであり上席常務執行役員の二見通氏とアクセンチュア金融サービス本部統括本部長の中野将志氏の対談を通して探っていく。

保険事業と新規事業におけるDXで「生きる」を創るリーディングカンパニーへ

中野:貴社では、日本での創業50周年に当たる2024 年までに、「生きる」を創るリーディングカンパニーへの飛躍を掲げられています。この目標に向けた取り組みについて教えてください。

二見:当社のステークホルダーであるお客様、ビジネスパートナー、社員、株主、社会に対して、継続的に新たな価値を提供することで、その目標が達成できると考えています。そして、その目標を達成するための一つの有効な手段としてDX(デジタルトランスフォーメーション)があります。当社のDXは、主に2つの領域でその取り組みを加速させています。一つは当社のコアビジネスである生命保険サービスの領域、もう一つは、保険以外の健康等に関する新たなビジネスの領域です。

いずれの領域においても、お客様、ビジネスパートナーが抱えるペインポイント(悩み/不便と感じている点)を明確にし、そのペインポイントを一歩一歩確実に解消していくことが重要であり必要です。

例えば、「コンビニATMでの現金受取サービス」においては、お客様が保険料の返金等をお受け取りになる際、時間と場所が制約され、受け取りまでに時間がかかるといったペインポイントを解消することを目的に、全国にあるセブンイレブンのコンビニエンスストアのレジやATMで、24時間365日いつでも当社から送金された現金を受け取ることができる新たなサービスを導入しました。こうしたサービスの着想の原点は、お客様のペインポイントであり、我々はデジタル技術を活用してどのように解決できるかを徹底的に考えました。

中野:そのような取り組みを徹底してスピーディーに実現できる理由はどこにあるのでしょうか。

二見:まず最初に、当社の古出社長が自ら全役職員に対してDXの重要性を伝え、またDX推進をリードしていることが挙げられます。そして、そのリーダーシップのもと権限委譲された各担当役員は機動力を持ってプリンシプルベースで業務に取り組んでいることが大きく影響しています。もちろん、各担当役員は説明責任・結果責任を問われますが、双方の信頼関係があるからこそ成り立っているのだと感じています。

また、営業部門と比べて普段お客様と接する機会が少ないIT 部門の社員に対しては、常にお客様の目線でデジタルを活用したより良いアイデアを提案すること、お客様にとって価値のあるサービスを提供するために必要なIT スキルを磨くことを求めています。社員全員が、お客様にご満足いただけるサービスを考え、そして、デジタル技術を最大限活かそうとしています。

アジャイル型の働き方で柔軟かつスピーディーに価値提供

中野:徹底したお客様目線に加え、スピード感があるのも貴社の特徴です。

二見:当社では2018 年から働き方の見直しに取り組んできましたが、そこで得た一つの答えがアジャイル型の働き方でした。アジャイルと言うとシステム開発の手法であると理解されがちですが、それだけではありません。当社では、あらゆる業務にアジャイル型の働き方を導入しています。アジャイル型の働き方とは、機能横断的なチームが、お客様ニーズを満たすために短期間で最低限必要なアウトプットを創出し、お客様からのフィードバックを基に継続的に更に改善を繰り返していく働き方です。これがとてもうまく機能し、お客様への価値提供スピードが加速しました。

中野:その変化は貴社に長く関わらせていただいている私の立場でも感じます。一方で、DXの推進に苦戦している企業も多いようですが、貴社がDXで成果を出せている理由はどこにあると感じられますか。

二見:まずは、DX戦略が全役職員に浸透しているということ、また、当社の企業理念、コアバリューに基づき戦略が実行されていることが挙げられます。

またIT部門に目を向けると、アジャイル型の働き方による開発スピードの速さに加え、やりたいと手を挙げた社員を優先的に新たな取り組みのリーダーに任命し、そのリーダーのもと、チームメンバーが積極的に変革に取り組んでいることが大きいと思います。部門を問わずリーダー、担当者を募り、意欲がある社員を任命し全員でサポートする。また、失敗もある程度許容する。その結果、成果が出れば、その成功体験が、さらにその社員の成長にもつながっています。

加えて、どのパートナー企業と協業すべきか? 協業すべきパートナー企業を選ぶことも重要な成功要因の一つです。我々IT部門は普段、多くの企業からご支援をいただいていますが、我々からのリクエストにただ応えるだけでなく、一歩も二歩も踏み込んで提案をくださるパートナー企業はとても頼りになり貴重な存在です。現在、すべての業務処理のデジタル化を目指し、アクセンチュアさんのご支援をいただきながらペーパーレス化に取り組んでいますが、まさにアクセンチュアさんは頼りになる存在です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受けて、社会全体でデジタル化が加速していますが、在宅勤務でも、より良いサービス提供ができる環境を整備することは急務です。そんな中、単なる帳票のデジタル化にとどまらず、業務プロセスの見直しを含む業務の完全自動化や省力化の提案をくださったのがアクセンチュアさんでした。最新のデジタル技術を活用した一歩も二歩も踏み込んだ提案をしていただき、現在、提案いただいた計画に沿って取り組みは進行しています。

また、当社がアクセンチュアさんをパートナーとして選んだもう一つの理由は、アクセンチュアさんは日本だけでなく、グローバルで多くの知見・経験をお持ちであるという点です。そのグローバルな知見・経験を当社へ提供くださり、コンサルティング業務から始まり、システム構築、場合によってはビジネスアウトソーシングに至るまで全ての段階においてソリューションを提供してくださることは大変魅力的です。DX推進においてはパートナー戦略も重要なポイントだと考えています。

ニューノーマルに向けた未来への投資も加速する

中野:COVID-19 の収束の見通しが立たないことを理由に、DXを含め新たな投資に躊躇する企業もあります。こうした流れをどのように見られていますか。

二見:我々は逆です。持ち株会社の理解と後押しもあり、今は、投資を止めるのではなく、ニューノーマルに対応するための重要な時期と考え、新規プロジェクトを止めたり遅らせたりすることもなく、むしろ、DXを加速させています。

COVID-19は、我々の価値観を変え、生活様式を変容させました。ステークホルダーを取り巻く環境が急速に変化している中、これまでは、経営にデジタルをどのように生かすかを議論していましたが、これからはデジタルを前提に経営について考える必要があります。我々はその変化に対応し、「生きる」を創るリーディングカンパニーへ飛躍するために、DX戦略に基づき、様々な取り組みに対して、スピード感を持って進めています。

中野:私たちも貴社のスピードをさらに加速できるよう、引き続きご支援させていただきます。本日はありがとうございました。

[1] Efmaとアクセンチュア共催のアワードで、保険業界における企業の革新的なイノベーションの取り組みを紹介し、促進することを目的に2016 年に創設。今年は45カ国240 社から約360 件の応募。

アクセンチュア 常務執行役員 金融サービス本部 統括本部長 中野 将志氏

アクセンチュアへ新卒入社。金融機関のシステム開発やテクノロジーコンサルティングを経験後、戦略グループへ異動。金融業界の事業戦略や海外展開の支援、M&A戦略などに携わり、13年金融サービス本部統括本部長、17年12月から現職。

アフラック生命保険上席常務執行役員CIO 二見 通氏

2011年1月までAIGグループ会社にてCIO常務執行役員としてシステム部門、オペレーション部門を担当。11年4月メットライフ生命入社、CIO執行役員常務としてシステム開発部門を担当後、三井生命保険(現在の大樹生命保険)CIO常務執行役員を経て、15年1月、アフラックに入社。現在、上席常務執行役員CIOとしてIT部門とデジタルイノベーション部門を担当し、デジタルを駆使した変革や新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいる。

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