金融サービスブログ    

デジタル変革は、銀行がデジタル時代に適応した新たな姿へとシフトするためのドライバーです。顧客の体験をいかに再設計し、異業種企業とエコシステムを形成するか。これからの銀行がとるべき「モデル」「戦略」を解説します。

銀行の戦略や組織そのものを変える「デジタル変革」

日本の銀行が直面する、4つの脅威と3つの課題

日本の銀行業界は現在、大きく分類して「4つの脅威」に直面しています。①長引く低金利環境、②人口/法人の減少、③異業種・プラットフォーマー台頭による境界線の消失、④ニュー・ノーマルで加速する顧客行動の変化。これらの複合的な影響による「負の連鎖」が業界の各所で起きています。

一方で組織内部に目を向けると、銀行の事業成長を大きく推進すると期待されるデジタル変革(トランスフォーメーション)の早期実行を阻害し、効果を限定的とする恐れがあるものとして「人材」「レガシーシステム」「何重にも積み重なったルール・プロセス」の3領域の課題が深刻化しています。

日本の銀行はいま、いうなれば大きな岐路に立っています。デジタル技術を活用して、銀行のあり方そのものを再定義しながら顧客へ提供する新たな体験を創造する「飛躍的成長の道」か、参入する異業種企業に事業領域を奪われながら、わずかな分野を担当する限定的なプレイヤーの地位を保って生き延びる「低成長の道」か。経営層が迫られている意思決定とは、未来のシナリオを選ぶことなのです。

銀行は「金融サービスのみ」という固定観念から脱し、異業種プレイヤーとの最適な協業体制の実現など、新たなエコシステを創る中心的役割を担っていくことが今まさに求められています。

銀行のデジタル変革のモデル、「スーパータンカー&スピードボート戦略」

高度経済成長時代に完成された銀行のあり方は、右肩上がりの時代においては効率の良いモデルといえました。しかし現代は「組織軸からお客様軸への変化」や「チャネル別組織を横断する組織体系への転換」が喫緊のテーマです。海外の先進的な銀行で進んでいる「スーパータンカー&スピードボート戦略」は、銀行におけるデジタル変革のひとつの姿を示しています。

スーパータンカーは大量の物品を一度に運べる積載力と長い航続力を強みとする「銀行の本体」です。本体では、紙ベースの大量業務を人海戦術で処理していましたが、これをロボットオペレーションに置き換える省人化で大胆なコスト効率化を目指すほか、顧客フロントの営業や業務部門をリモート化で効率化するモデルへと転換していきます。

スピードボートは小回りの効く機動性と、立ち上がりの加速力、俊敏性が最大の武器です。銀行業界では「本体から切り離したデジタルバンク」や「新規の非金融サービス」をスピードボート型の機動力を発揮して推進していき、外部企業とのオープンイノベーションの実行やエコシステム構築などのチャレンジを進めます。

スピードボートで革新性の高いビジネスを試行錯誤し、新たな収益源の発見や、獲得されたノウハウを本体事業への還元につなげます。得られた知見は、本体の今後の針路決定や次期主力ビジネスの見極めに寄与するものとなります。

銀行の未来を描くパートナー、アクセンチュア

日本の銀行の取り組みにおいては今後、スーパータンカーとスピードボートのバランスが重要となります。

特に不足しがちなピースとして挙げられるのが、カスタマーエクスペリエンスを描ける人材、非金融企業とのアライアンスを検討できる人材など、スピードボートで求められる能力です。また、Fintechをはじめとする先進テクノロジー(New IT)を理解し、実装できる人材の重要性もますます高まります。これらの人材をいかに取り入れ、育成し、自行へ定着させるかがポイントだといえるでしょう。

事業の基盤となるITシステムにおいても、スーパータンカー側ではモダナイゼーションの推進、スピードボート側ではクラウドの活用など、幅広い戦略実行に対応できる柔軟性のあるITシステムの構築がテーマとなります。

アクセンチュアは海外の先進的な銀行の成功事例や方法論に基づく戦略立案をご支援しているほか、日本の銀行の成長に寄与する専門人材、先進テクノロジーの提供を強みとしています。

また、アクセンチュアのグローバルネットワークは、邦銀の海外支店やM&Aで獲得した国外銀行の運営の効率化、シェアード事務センターの構築など、オペレーションにおける知見と経験を有しています。

日本の銀行が本来的に持っている高いポテンシャルを発揮するには、「銀行自体の価値の再定義」などの踏み込んだ改革も必要です。デジタル変革は、金融と非金融をブレンドする革新性の高い事業の創出を後押しする取り組みでもあります。アクセンチュアは「銀行の未来」を描くパートナーとして、お客様を力強くご支援しています。

詳しくはアクセンチュアのホームページに掲載されているこちらのページをご覧ください。金融サービス本部についてはこちらのページをご覧ください。