2015年に「市場系システム再構築のトレンド~既存システム構成から脱却に向けて」と題し、弊社金融サービス本部旬報に考察を掲載しましたが、銀行市場部門やトレーディング部門の方々とトレーディングシステムの方向を議論する中で、この数年、「Be Simple」、「Optimization」というキーワードが目立つようになり、再構築に向けた内容が多くなってきています。トレーディング市場がすでに成熟期を迎えつつあるため、各取引の収益を拡大することが困難であり、それゆえ、トレーディング業務を支えるインフラを効率的かつ低コストにせねばらないことが背景にあると思われます。

弊社のトレーディング関連のコンサルティング依頼内容についても、単独新規のトレーディングシステムを導入するというような内容よりは、「別アセットクラスのシステムを横展開できないか?」とか「大型規制対応に合わせて、トレーディングシステムを再構築する際に、よりシンプルな構成にすることを検討できないか?」といったものが多くなってきているのが特徴です。また、DevOpsなどの最新開発手法を、既存のトレーディングシステム運用に活用する内容も増えてきているように感じます。

Globalに展開する金融機関は、近年のリスク関連規制に対するコストをこれ以上増大させるわけにはいかず、システムの数そのものを極力減らす方向に向かっています。特に欧州系金融機関では、その施策をリーマンショックの2、3年後から「Global Transformation Program」として実行しているケースが多く、フロント・リスクといった業務機能だけではなく、拠点・商品・規制といった観点での議論も進んでいます。つまり、ここでも「Be Simple」、「Optimization」が重要視されています。その中で、システムに関しては、「既存カスタムシステムでの拡張性の限界」や「横断機能再構築が不可」といった理由で、守備範囲の広いパッケージソリューションを選択する企業が増えています。

トレーディングに関するシステム運用について、Tier1クラスのトレーディングパッケージであるMurex社Mx.3導入を国内外で多数実施していることから、様々な企業からご相談を頂きます。その中でも、最近は特に「Murex on Cloud」や、弊社が提供するDevOps関連のToolである「Accenture MxMon」に関するものが増えているのが特徴です。特にMurex on Cloudは、ハード拡張時の選択肢を増やすことが可能であるなど、画期的な考え方に基づくサービスであり、国内既存ユーザもこれから本格的に検討が始まると考えています。

国内のトレーディング市場が成熟期を迎えていく中で、ソリューションもこれまでのような単純導入ではなく、Transformationを含む新たな方向性が求められています。弊社もクライアントと議論を深めて、市場・トレーディング領域の更なる進化に貢献していきたいと考えています。

山田 健二

ビジネス コンサルティング本部 マネジング・ディレクター コンサルティンググループ

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